国際水鳥センサス
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国際水鳥センサス
湿地が健全な状態かどうかを、どのように知ることができるでしょうか? 湿地が危機的な状況に置かれていることを、どのように知ることができるでしょうか? そしてその危機を回避するためには、どのような適切な行動をとればよいのでしょうか? 長期間にわたり繰り返しデータを収集するモニタリングは、湿地と湿地が支える生物を理解し、管理するための基礎となります。国際湿地保全連合は、世界最大規模で最も歴史のあるモニタリングプログラムのひとつである国際水鳥センサス(IWC)の調整役を務めています。
水鳥は湿地生態系の要の生物です。ある湿地における水鳥の存否、個体数、増減の傾向は、湿地が良好な状態にあるか否かについて、多くのことを教えてくれます。水鳥は、レクリエーションや観光の機会を作り、時に食糧となるなど、重要な社会的な機能を持っています。水鳥は、だれもが分かち合えるすばらしい自然の世界であり、文化や国境を越えて湿地と人々をつなぎます。IWCは、保全状態の評価、重要な湿地の特定、保護区への指定、モニタリング、さらには国または地方レベルで行う動植物管理に対する国際的意味づけまで、さまざまな面で、水鳥とその生息地である湿地の保全を進める私たちの活動を支えています。
IWCとは?
どのような人が調査に協力しているのか?
カウント調査はどのように行われるのか?
IWCの調査地と調査対象種
どのように調査に協力できるか?
さらに詳しく知りたい人は
IWCとは?
IWCは、さまざまな湿地に生息する水鳥の個体数に関する情報を収集するため、世界143か国で行われるモニタリングプログラムです。IWCには、世界の主要なフライウェイに対応して、以下の4つの地域別の枠組みが設けられています。
どのような人が調査に協力しているのか?
主に水鳥モニタリングの協力者は、鳥を見つけることを楽しみ、カウント作業にやりがいを感じるボランティアのバードウォッチャーです。毎年、非常に多くのボランティアが参加するこの調査は、世界の中で最も大きな市民科学プログラムのひとつになっています。このセンサスはほとんどの国で専門的にコーディネートされ、多くの国で専門家も現地調査の多くを実施します(ほとんどはボランティアとして)。私たちはまた、特定の種や特定の地域について水鳥のモニタリングプログラムを実施している団体とも密接な連携をとりながら、調査を進めます。コーディネーターのリストを参照してください。
カウント調査はどのように行われるのか?
さまざまな水鳥の個体群には異なるモニタリング手法が必要です。国際水鳥センサスでは、毎年一か所の調査地につき一回のカウントを継続して実施しています。実施日は地域によって多少異なりますが、1月または2月に実施しています。新熱帯区とアフリカでは、大陸間を渡る鳥をカウントするため、7月に追加調査が行われます。農地を利用するガン、ハクチョウ、海ガモ、シギ・チドリ類の中には、特別なカウントを要するものもあり、それらの調査は、国際湿地保全連合‐国際自然保護連合の種の保存委員会専門家グループと連携して実施します。
非繁殖期のカウントは、欧州野鳥センサス協議会などのパートナー団体や、極北鳥類繁殖状況調査(Arctic Breeding Bird Survey)などの調査プログラムによって実施される繁殖期の調査によって補完されます。
標準化は、国際水鳥センサス調査の基本原則です。年ごとのカウントの比較の有効性が最大化されるように、毎冬同じ場所、同じ方法で調査を実施することが重要です。国レベルでは、当該国のカウントデータを標準化するうえで、コーディネーターが中枢的な役割を果たし、調査員はそれぞれのコーディネーターと連絡を取り、データの収集と提出に関してより深く理解することが推奨されます。
IWCの調査サイトと調査対象種
調査地は、河川、湖、貯水池、池、淡水湿地、マングローブ、干潟、サンゴ礁、水田、下水処理場など、ラムサール条約で「湿地」と定義されている自然及び人工の湿地のすべてのタイプを含みます。
調査対象種には、カイツブリ類、ウ類、ペリカン類、サギ類、コウノトリ類、トキ類、ヘラサギ類、フラミンゴ類、カモ類、ガン類、ハクチョウ類、ツル類、クイナ類、レンカク類、シギ類、チドリ類、カモメ類、アジサシ類、ハサミアジサシ類など、湿地で通常見られる水鳥の仲間がすべて含まれます。さらに、主に湿地で採餌を行う猛禽類、カワセミ類などの鳥もしばしば報告されます。
どのように調査に協力できるか?
私たちは、水鳥とその生息地である湿地を守り、再生するという目標を共有する、すべてのレベルや団体からの協力を歓迎します。関わる方法はいくつかあります:
- 自国のネットワークを支援する:調査を推進するため、カウントに参加したり、新しい調査員のトレーニングを手伝ったり、資金や物品の提供などが可能です。参加希望者はIWCコーディネーターに連絡して下さい。
- フライウェイ全体のつながりを促す:地域分析の作業への協力や(IWCデータフォームに必要事項を記入して提出すれば、研究者はIWCのデータを入手できます)、技術的・財政的支援を必要とするフライウェイ上の国や調査サイトと相互協力関係を結ぶことができます。
- 危機的状況にある湿地を守る:危機的状況にある湿地がラムサール条約に登録されるよう情報を収集したり、国の保護区の政策決定担当者に働きかけたりすることもできます。地元の湿地の保全にボランティアとして関わりましょう。
- 意識を高める:湿地の保護区でのイベントを企画・運営したり、バードウォッチングツアーを実施したり、フォトコンテストを開催したりして、民間企業や学生、ハンター、広く一般の人々などに働きかけることもできます。地元の調査サイトの持続可能な管理のために水鳥モニタリングの重要性を広報したり、ソーシャルメディアを利用してメッセージを広めてもよいでしょう。
さらに詳しく知りたい方は
- 最新の傾向や推定個体数を知りたい場合は、「WPE: Waterbird Population Estimates, 水鳥個体数推定値」をご覧ください。
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