自然保護区と生物多様性の保全効果:適切な管理が重要
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国際水鳥センサス
水鳥の保全に対する自然保護区の効果を分析した国際的な研究により、国立公園などの自然保護区を指定した場合の野生動物への影響は様々であることが明らかになりました。
特に、水鳥とその生息地を効果的に保全するためには、自然保護区を指定するだけではなく、適切に管理することが極めて重要であることが明らかになりました。
イギリスのエクセター大学とケンブリッジ大学が主導し、Wetlands Internationalが参加した国際共同研究チームは、68か国、1,500か所の自然保護区内で観察された27,000個体の水鳥の他、近隣の保護区域でない場所の水鳥のデータも含めて、自然保護区が指定される前後の個体数等を分析しました。
その結果、自然保護区でも、管理された場所は、そうでない場所に比べて、より高い確率で水鳥の種数が維持されることが明らかになりました。また、保護区の面積は、狭いよりも広い方が種多様性の維持に効果的であることも示されました。
生物多様性の損失を防止するため、2030年までに陸と海の少なくとも30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする国際的な取り組みが進んでいますが、本論文では、それだけでは生物多様性の保全には不十分であることを述べています。つまり、自然保護区の面積を増やすことだけでなく、質的な管理に関する目標を設定する必要があると主張しました。
この論文は、数十年にもわたってモニタリング情報を集積してきた国際水鳥センサス(International Waterbird Census)のボランティアネットワークの努力の結晶であり、生態系の変化を把握するためには、モニタリング調査を継続していくことが重要であることを示しています。
なお、本研究成果は、2022年4月20日付の科学誌『Nature』に掲載されました。
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