Straight to content

モニタリングサイト1000 沿岸域調査

Published as:
Case study
Published on:

日本国際湿地保全連合では,環境省や国立の研究所,大学等と共同で,多種多様な生物の長期モニタリング調査を実施しています。

 

モニタリングサイト1000

モニタリングサイト1000は,日本の代表的な生態系の状態を長期的・定量的に監視することにより、生物多様性に関する変化等を検出し、学術研究や自然環境保全施策に役立てることを目的に,2003年に開始された国家プロジェクトです。

本事業の大きな特色は,基本的に同一生態系内では同じ調査方法を用い,同じ調査サイトで長期間にわたり継続してモニタリングを行っている点です。これにより,各調査サイトの経年的な生物相や物理環境の変化を明らかにできるだけでなく,他の調査サイトとの比較も可能になります。

1973年から実施されてきた自然環境保全基礎調査は,全国の自然環境の状態を面的・網羅的に把握することが目的であったのに対し,モニタリングサイト1000は生態系の変化を定点で調査対象を絞って定量的・継続的に把握する点で異なっています。

調査対象となる生物種は多種多様性です。例えば,森林・草原分野では,樹木,地表徘徊性甲虫,鳥類を指標生物群に定め,沿岸域分野では,底生動物や海草・海藻等を調査対象にしています。

モニタリングサイト1000では,陸域,陸水域,海域に及ぶ11タイプの生態系を対象とし,調査サイト数は1000ヵ所を超えます。また,参加者は延べ約5,000名となっています(2017年度末現在)。

当団体が実施する沿岸域調査は磯・干潟・アマモ場・藻場を対象に、以下の調査を実施しています。

 

磯調査

厚岸浜中、安房小湊、大阪湾、南紀白浜、天草、石垣屋良部の各サイトで、30個の永久方形枠(25cm×25cm)の画像データを取得し、各サイトで選定された指標生物の有無を方形枠毎に記録します。5年毎調査では、点格子法という手法を用いて、方形枠内の生物種をより詳細に記録します。この調査により、地球温暖化による生物相の変化や外来種の侵入等を捉えることができます。

 

干潟調査

厚岸、松川浦、盤洲干潟、汐川干潟、南紀田辺、中津干潟、永浦干潟、石垣川平湾の各サイトで、表在性および埋在性底生生物を定量的に採集します。また、定量調査の結果を補完するために、目視観察による定性調査も実施します。5年毎調査では、底土の粒度や有機物含量を分析し、代表的な生物種の標本を作成します。この調査により、各サイトでの種々の環境下における生物相を記録することが可能となります。

 

アマモ場

厚岸、大槌、富津、安芸灘生野島、指宿、石垣伊土名の各サイトで、調査ラインに沿って10箇所程度の調査帯を設定し、各調査帯に無作為に設置した20個の方形枠(50cm×50cm)内の海草群落の被度を記録します。5年毎調査では、底土の粒度分析、底生・表在動物の採集、乾燥押し葉標本の作成等を行ないます。この調査により、地球温暖化等による生態系や植生の遷移などアマモ場に起こりうる異変を捉えることができます。

 

藻場

室蘭、志津川、伊豆下田、竹野、淡路由良、薩摩長島の各サイトで、調査ライン上の10個程度の方形枠(50cm×50cm)とその近傍に設置した3~6個の永久方形枠(2m×2m)内の海藻群落の被度を記録します。5年毎調査では、坪刈り調査や乾燥押し葉標本の作成を行ないます。この調査により、地球温暖化等による藻場構成種の変化や磯やけなどを捉えることができます。

 

 

最新の調査状況等を、以下のページからご確認いただけます。

►環境省生物多様性センター モニタリングサイト1000 速報ページ